相続から先の「暮らしのかたち」
2026.05.07
高校時代の親友から、先日、電話がありました。
「都内在住の知り合いが、相続のことで相談したいらしいんだけど…」
「まてまて、もう自分は現役の税理士じゃないし……。」と、少し背筋が伸びます。
私はすでに事務所を後継者に引き継いでおり、現場からは少し離れた身。
「どこまでお役に立てるかわからないけどね」と前置きをして、お話を伺うことにしました。
当日、まずは相続税のお話から。
特例を使えば、基礎控除の範囲内に収まり、納税はゼロで済みそうです。
「それはよかった」と、場の空気が少しやわらいだのを感じました。
けれど、本当の悩みは、そこから先にありました。
一つの土地に、二つの住まい。
長年、それぞれの暮らしがそこにあり、思い出が積み重なってきた場所です。
遺言では「兄妹で等分に分ける」とされていましたが、
接道が2メートルしかなく、現実的には分けることが難しい。
「売却して分けるしかないのかもしれない」
そう話される中で、ご自宅に愛着があるのだろうに、
どこかしっくりこない気持ちがふつふつとわき上がってきました。
お話を伺う中で見えてきたのは、
単に“分け方”の問題ではなく、これからの“暮らし方”への不安でした。
年齢的にも、新しい住まいを探すのは簡単ではない。
それぞれにご子息もいらっしゃる。
これまで税理士として数多くの現場に関わってきた経験から、
「この先、どうしていくのがいいのだろう...」という不安を抱えておられるのだろうと感じました。
そこで、ひとつお話をしてみました。
「もしよろしければ、このまま住み続けるという選択もありますよ」
お二人の関係は良好だと感じられたので、
だからこそできる方法として、「民事信託」という形をご提案しました。
(相談内容のイメージ図です。)

お二人がご健在の間は、これまで通りそれぞれの暮らしを続ける。
そして、お二人がいなくなった後に、この土地と建物を売却し、
ご子息たちに分配する――
今を守りながら、次の世代へつなぐ方法です。
もちろん、手続きには費用も手間もかかります。
けれど、それ以上に「将来の不安を減らす」という意味では、
とても大きな安心につながるのではないかと。
ほっと安心されたのか、
「この方法で妹とも話しあってみます」と笑顔がこぼれました。
今回のご相談を通して、改めて思ったことがあります。
どんなに良い仕組みでも、
家族の関係がぎくしゃくしていては、うまくいかない。
逆に、お互いの信頼関係さえあれば、選べる道はぐっと広がるのだと。
最後に、
「信頼できる司法書士の先生と一緒に、いろいろなケースを想定しながら、じっくり形にしてくださいね」
とお声がけして、面談を終わらせました。
帰り際、こんなお言葉をいただきました。
「ぜひ報酬をお支払いさせてください」
お気持ちはありがたかったのですが、
「私はリフォーム業者紹介センターの社長ですので。
お住まいのことで何かあれば、そのときにご利用いただければ十分です」と、
さりげなく?
しらじらしく?
営業トーク...。(笑)
税理士はやめたつもりだし、少しだけ、社長業も板についてきたのかな~。(笑)

