原油安になったとしても、大工さん不足は深刻です 『すこし直して、ながく暮らして。』
2026.05.11
ホルムズ海峡封鎖の影響で原油価格が高騰していますが、
ではリフォーム現場ではどのような影響が出ているのでしょうか。
これについては、以前お伝えした通り、資材価格の上昇や納期の不安定化といった状況が続いています。
では、原油価格が下がれば、リフォーム現場も元通りになり、部材の納期が安定し、価格も下がるのでしょうか。
ここ5年から10年のスパンで見ると、
リフォーム費用が下がるとは考えにくい時代に入ってきていると感じています。
新築住宅は、従来の在来工法に加え、ツーバイフォー工法や、さらには3Dプリンター住宅など、
熟練した大工の手間に依存しない工法へとシフトしてきています。
一方で、大工という職業は、技術の習得に時間がかかるうえ、収入が大きく伸びにくい現実もあり、
担い手は年々減少しています。
しかし、新築とは異なり、既存住宅の修理やリフォームは、物件ごとに構造も仕様も異なるため、
熟練した大工の技術や経験、そして創意工夫が欠かせません。
この「新築」と「リフォーム」における大工の関わり方のギャップは、今後も簡単には埋まらないでしょう。
むしろ、大工さんの高齢化による就労者数の減少(総務省「国勢調査」より)に拍車がかかるこれからは、
資材価格以上に「職人の確保」が大きな課題になります。

リフォームを依頼しても数ヶ月待ちになる、あるいは人件費が上昇する――そんな状況は今後さらに顕著になると
考えられます。
海外に目を向けると、アメリカではAIの普及に伴い、学生によるホワイトカラーから
技能職へのシフトの兆しも見え始めています。
全米学生クリアリングハウス研究センター(NSC)の公表データをもとに、
技能職系分野(電気・配管・空調)の入学者増加傾向をみると
電気・配管・空調分野の職業系教育機関入学者が20%から30%の著しい増加となっています。

しかし日本では、人口減少の影響もあり、このような動きが本格化するまでには、
まだ時間がかかるのではないでしょうか。
さらに、地震大国である日本においては、被災地の復興においても、
大工などの技術職不足は深刻な問題です。
こうした将来を見据えると、住宅のメンテナンスは、緊急対応が年々困難な状況になってくると予想され、
自分でできる家屋の点検を計画的に行うことが重要になってきます。
いわば、問題が大きくなってからの「後手のリフォーム」ではなく「先手のメンテナンス」です。
些細なメンテナンスで住宅の価値を保つ箇所は多々あります。
自分でできることは自分で手をかける。
それを楽しみながら行う――DIYという選択も、これからの時代には良いかもしれません。
サントリーレッドのCMで、大原麗子さんの名台詞
『すこし愛して、ながく愛して。』 が一世を風靡しましたが、
住まいにも同じことが言えるのではないでしょうか。
使いっぱなしではなく、
定期的に 『すこし直して、ながく暮らして。』
そんな意識が、これからの住まい方には大切になってくるのだと思います。




